素敵な家をプロデュース

家を建てる前に大前提がある

建築には工法というものがあります。 それは基礎工事から始まって構造の躯体工事、水道工事、屋根工事、板金工事、防水工事、電気工事、断熱・気密工事、外壁工事、内部造作工事、設備取り付け、内装工事、ペンキ工事など家一軒を建てるにはあらゆる職方が関与しそしてあなたの家を建てます。

それらの工事にはその工事に適した内容の作業工程、施工方法があります。原則その工法に間違いがなければクレームの発生につながりません。 付け加えると工法に間違いがあると、どんなに腕のいい職人さんでも後々クレームにつながるという事です。 つまり工法に間違いがなければ施工ミスさえ気を付ければいいのです。
そして工法とは「土木・建築工事などにおける施工の技術的方法。」であっていわゆる在来とか2×4とか軽量鉄骨等の建て方の違いのみではないということです。

物には当然よりいい物とそうでない物がある。

当たり前の話ですが、まず躯体です。いい躯体とはどういう条件を備えているのでしょうか?

500年に一度、あるかないかの地震でも倒れない家!
60年以上経っても耐用実績を持っている家!
防火シャッターのように燃えにくい構造体!

等があげられます。

の耐震性は下の図を見てもらえれば一目瞭然です。例えば2×4工法だと

上段の従来の工法より下段の枠組み壁工法の方が誰が見ても丈夫ですよね。
建物を柱や梁で支えるより四辺の壁、床、天井などの六面体構造は力学的に最もバランスがよく地震や台風にもかなりの強度を持って耐えます。 

なお在来工法、軸組み工法の場合ですが、昨今は2×4工法のように構造用合板を外壁側の壁に張る現場が増えました。またピン工法の採用、金物の向上、プレカットの精度向上により耐震技術が非常に優れてきております。制震技術もあります。(機会があれば他で述べます。)

実際に耐震性は構造計算により、確かめる事が出来るので在来工法でも、2×4工法でも構造がしっかりしている場合はほとんど優劣に変わりありません。そのための構造計算なのですから、特別2×4工法だけが優れているわけではありません。しかし2×4は特別強化しなくても耐震性が基本的に備わっており、軸組み在来工法はあえて強化しないと耐震性が2×4に比べて劣る場合がある事だけはお伝えしておきます。

当社ではお客様のご希望により2×4工法を採用したり、木造軸組み工法、つまり在来工法を採用いたします。特に差別化はしておりません。正しく施工すれば問題ないのです。

さらに、の説明をしますとこの深い意味を知っているが少ない!

知っていよう、経年変化という事実!

経年変化とはあらゆる物が時間の経過とともに変化するということです。
建物も例外ではないのですが問題は劣化するスピードです。 建てたばかりの家はどんな工法の家であろうが強度はあるに決まっています。
しかし時間が経てばどうか? 50年60年経っても強度が落ちない躯体、これが本当に求められる躯体ではないでしょうか?

ではその為にどうすればいいのでしょうか?

それは水蒸気対策をきっちり行うことです。(当社は繊維系断熱材を使用の際は壁の内側に気密シートを貼ります。)
建物にとっての最大の敵は水です。 
それは上からの雨、下からの湿気、そして建物内部からの水蒸気です。

この中で特に建物内からの湿気は大敵で皆さんがよく知ってる結露がこれにあたります。

結露については詳しくほかの項目でお話しするとしてこの結露が壁の中で発生するのが問題で、これが建物の耐久性と大きく関わってきます。これを壁内結露と呼びますが壁の中に入り込んだ水蒸気はそこで冷やされ水滴になります。

そして壁内の躯体に吸収され徐々に躯体の腐朽が進みます。そしていずれはもろくなり耐久性が下がるという訳です。 阪神大震災の大きな被害は建物の倒壊による圧死と聞いております。  もしこれが北米住宅のような堅牢な家なら被害者の数は少なかったでしょう。  

何故ならその震災のちょうど一年前にロサンジェルスで直下型の地震がありましたが、その時の一般住宅の被害はほぼゼロだと聞いています。

神戸の震災で比較的新しい住宅の倒壊は少なく、また2×4住宅の被害もないと新聞のコラムにもありました。

先進国の住宅平均寿命の半分以下にも満たない日本の住宅事情。 我々エンドユーザーの目が厳しくならない限り良くはならないと思います。

最近の住宅事情 長期優良住宅など

最近は長期優良住宅制度の導入などにより飛躍的に住宅の性能は上がりました。姉歯ヒューザーの問題で建築確認制度から罰則強化、住宅瑕疵保険の施工など政府も必死になって日本の住宅事情を良くしようと考えています。長期優良住宅の耐用年数は驚きの200年住宅です。

住宅エコポイント、木の家整備促進事業、住宅ローン優遇、税制優遇などあたり構わず景気浮揚策を行い、性能の良い住宅を確保しようと考えています。この点は評価できますが、実際問題は性能の高い家は建築工事に費用が過分にかかりますのでまだまだ普及は促進できないでしょう。

難しい話は置いといて額が足りないのです。性能の良い家を建築する費用に対して、補助金などの額が少ない。今の景気ではこの額だと足りない人がほとんどでしょう。資本主義は市場で決まります。実際一次取得者は土地からの購入が多いので高性能な家は後回しになるのが現状です。高い家だと住宅ローンが通りませんし、通っても先行き不透明な日本の現状を考えると高額な支払いは恐くてローンを組めません。

地球環境、エコが最重要課題として我社も取り組んでいますが現実は現実として、対策を練りたいですね。

万が一の火災の時、燃えにくい方がいいよね!

火災の時、1,2分を争う急場です。 この時の数分で明暗を分ける時があります。
2×4、2×6住宅はファイアーストップ構造といいまして火災の延焼を遅らせる構造になっています。
在来工法と比べると格段の開きがあり全焼するのに40分もかかるのです。 
在来工法の平均値が10数分という報告もあるわけですから差は歴然としています。

では、在来工法の場合、このような構造にする事が出来ないのでしょうか?答えは否、
できます。最近では知っている人が増えましたし、施工方法というか一部施工基準にもなっていますが「気流止め」の施工です。

「気流止め」これは何かといいますとまさしく読んで字の如く気流を止めるです。場所は主に壁内です。分りやすく言うと基礎下から壁内に空気が上昇して屋根裏まで抜ける空気の流れです。従来の在来工法は基本的にこのような構造になっています。いまでも特に工務店やビルダーが意識しないで建築した場合、この気流止めの施工はしておりません。

では、これが万が一の火災とどういう関係があるかですが、皆様ご存知のように火は空気の流れがある時とない時とではどちらが火の回りが早いでしょうか?当たり前のことを聞くなという声が聞こえそうですが、床下から壁内、そして小屋裏、軒裏と空気の流れが通じているならそれは煙道という事になりませんか?

そうです、今までの気流止めを施工しない場合、この壁内が煙道になっているのです。これが在来工法が早く焼け落ちる原因だったのです。ちなみに2×4工法はその組み立ての仕組みから言って煙道になることはあり得ません。どんな下手くそな人が作ってもなりません。

根本的に仕組みが違うからです。あ、お断りしますが外壁側の通気層とは違いますよ、今の話は。 話を戻しますと在来工法ではこの気流止めを採用すれば自ずと煙道効果はないわけですから火災には強くなります。必然と、科学的に。理屈です。しつこいですが。

ですから火災に強くなるにはこれだけではありませんが、万が一の時に少しでも延焼を遅らせる処置は最重要項目と私は考えています。

最後に煙道云々の話は断熱材による断熱効果にも大きな影響を与えます。この話はまたの機会にしましょう。

2011年1月21日

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