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建物の結露について

結露、その問題点を正確に理解している人は少ない。

やみくもに高断熱化に走っても結露がひどくなるだけです。結露には表面結露内部結露があります。  内部結露を壁内結露とも呼びますが結露について簡単に説明します。

 表面結露は

  • 冬場のサッシやガラスにびっしりと付く水滴
  • 夏場の冷たいビール瓶に付く水滴
  • 朝に車のボンネットに付く水滴

等、これらの現象を表面結露と呼びます。

内部結露とはそれが表面に見えない内部であらわれること。 (建物では壁内結露)
建物においてこの内部結露が一番厄介な問題で、結露が起こるのはしょうがないという説明をするメーカーや工務店、不動産屋が多いのもうなづけます。

果たして結露は防げないのでしょうか?

答えは否

現在の一般住宅建築において断熱材を使用していないところは皆無です。 

まず断熱材にも種類があり、色々あります。
代表的なのがグラスウール、ロックウールなどの繊維系断熱材、同じ繊維系でも羊毛断熱材、古新聞を再利用したセルローズファイバーもあります。

そして最近人気の現場発泡系断熱材、アイシネンなどの外国産からフォームライトなどの国産品もあります。水発泡とか100倍発泡とか言って宣伝しテレビでも紹介されています。

それで、ここで注意しなければならない事を申し上げますと、それぞれの断熱材に合わせた最適な施工方法があるという事です。例えば繊維系断熱材の代表であるグラスウールは気密層をバッチリ施工しなければいけません。入れなければ内部結露がひどくなるのです。 

スカスカの壁より沢山の断熱材を入れれば入れるほど気密工事が必要になり、これを怠ると建物内外の温度差が激しくなり、壁内で露になるのです。
どの家も寒いのは嫌なので冬場はガンガン暖房を炊きます。 そしたら空気が乾燥するので加湿器を入れます。

断熱材が厚いので薄い断熱材と比べると熱は外に逃げにくいです。 しかし十分に湿気を含んだ空気は壁を通り抜け外に行こうとします。
内壁を抜け外壁に近くなるうちに急激に外気によって冷やされます。 冷やされた空気は一気に露点以下に下がり露になると、こういう寸法なのです。
こうして水滴になった水蒸気は逃げ場を失い躯体や断熱材に吸収されます。

そして徐々に徐々に腐朽が始まるのです。 そしてカビが発生するのです。 それを餌にダニも爆発的に増えます。 

まさしく悪循環の始まりです。

じめじめした夏場よりもカラッとした冬場の方が結露の被害が多いのもこういった理由からです。そしてこれを回避する工事が防湿工事であり、壁の内側に貼る防湿シートなのです。
コンセントやクーラー周りなど細かい施工注意点はありますが要は防湿シートをきちんと張れば問題ないわけです。あくまでも繊維系断熱材の話ですよ。

次に現場発泡系の断熱材はどうかといいますと、最近人気が爆発的にあるのには理由があります。先ほど挙げたグラスウールは日本の今までの住宅の場合、きちんと施工しない、また誤った施工方法を採用し続けた結果、内部結露問題を沢山起こしました。ゆえにエンドユーザーも方もその事実を知っていて避けたがるのです。

別にグラスウールが悪い訳でなく、正しい施工方法を流布しなかったメーカーの責任もありますし、正しい施工方法を採用しないビルダーにも責任があります。しかし実際グラスウールをきちんと施工するにはかなり面倒な作業が伴いますので簡単に気密が取れる現場発泡系の断熱材の登場、そして流行となったのです。

アイシネンやフォームライトの施工は現場で吹きつけ作業です。吹き付けられた原材料は60倍から100倍に膨れ上がり面倒な隙間もアッという間に埋めてしまいます。また繊維系断熱材みたいに防湿工事を必要としない場合があるのです。100%必要ないわけではありません。

地域により、断熱量により、認定制度により、防湿工事を省く事が出来ます。 必要な条件が揃っていても長期優良住宅制度や性能評価など必要ない場合は別に防湿工事は義務ではありません。(個人的にはやった方がよい地域などは施工すべきと思います)
尚、結露対策は外張り断熱等もありこのサイトでは触れまていません。 あしからず

まとめとして

科学的根拠のないものは信ずるに値しない!

中学校の理科で学習しますが、空気中には水蒸気が含まれており、水蒸気は露点以下になると露になります。 そして水蒸気は温度の高いところから低いところへ移動する性質を持っています。 身近な例で言えば閉めっぱなしの押入れが湿っぽく、カビ臭い経験を持っていませんか。 あるいは濡れているとか? 下駄箱もそういう状態が多いですよね。

冬場のサッシや夏場のビール瓶のように経験的にも私達は知っています。
この事実は誰が否定しても否定できない科学なのです。 

性能表示で長期優良住宅制度で国は繊維系断熱材の場合、防湿工事は行ないなさいと、工事を義務付けました。でこれがないと温熱環境の項目で最高等級4が取得できません。
発泡系断熱材の場合も条件が揃わないと防湿工事を省く事を許されません。
何故、国交省がこのような技術基準を設けたのか、逆算思考すれば容易です。
ですので建物を購入する場合、きちんと結露対策が取れているかを聞いてみましょう。

2011年1月19日

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