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耐震改修工事の必要性について

耐震改修工事は行なう必要があるのか?

今年3月11日に起きました東日本大震災により住宅の耐震改修について関心が強まりました。住宅の地震対策には耐震・免震・制震が挙げられます。後日当社が行なった制震工事を紹介しますが、その前に耐震改修について概要を知っておきましょう。条件により補助金が出る内容です。

耐震改修工事による助成金の条件は市町村により態度が違いますが、昭和56年5月31日以前に着工もしくは建築した家屋が対象になります。そして耐震診断と耐震補強工事にそれぞれ補助金がでます。


金額も市町村によりまちまちです。入間市は最大20万円と聞きましたが、他では50万、60万と聞いております。ですから古い家にお住いで耐震補強をお望みの方は一度市役所か、工務店に出向いて確認する方が良いでしょう。


知らないで耐震改修するより手続きは面倒ですが、中間検査をして確実な工事ができ、悪徳リフォームに引っ掛かかりにくい補助金制度を利用するのが賢明な判断と言えます。


悪徳リフォームに引っ掛かりにくい理由は耐震診断士に家を診断してもらうからです。耐震診断士は正確には国家資格などではありませんが、その資格を得るには原則二級建築士以上の有資格者しか取得できません。原則以外では構造に詳しく能力がある者には与えれるそうです。


それでどこでこの資格を得るかと言いますと、「財団法人 日本建築防災協会」や「NPO法人日本耐震防災事業団」などで資格を得ることが出来ます。これら団体が耐震診断士の育成に励んでおります。


悪徳リフォームの会社は安易で姑息な人物が行なうものですからわざわざ勉強し苦労してまで資格を取ろうとしないものです。面倒な事もやりたがりません。また助成金制度の場合は市町村に計画を報告しなければなりませんので立ち入る隙が少ないのです。これらの点で補助金を使う耐震改修工事は悪徳リフォームに引っ掛かりにくいのです。


それで補助金の出る耐震改修は具体的にどう進めるかと言いますと、まず耐震診断を致します。まず耐震診断士が既存家屋の今の状態を診断します。そして評点を出します。評点とは文字通り家の現状に点数を付けるのです。評点の根拠は各市町村によって違いはありますが、概ね

地盤と基礎の状態
建物の形
壁の偏在
筋交いの有無
壁の割合
建物の老朽化の度合い

などの項目が挙げられます。


これらを診断する事により評点を出すのです。この評点の基準は1.0です。 この1.0は現行の建築基準法の耐震基準です。古い家はまずこの点数に足りません。なぜなら大きな地震が来るたびにこの基準が高くなっているからです。その当時の時点での基準で家は建てていますので評点が足りず1.0をクリアしていないのです。


そして耐震改修をどのようにして、評点1.0をクリアするかを計画し、提示します。その提示された内容どおりに耐震改修をするとめでたく評点1.0以上を獲得し無事に耐震改修を終えたとなるのです。


中間検査がありますが、無事に施工を終えますと補助金が出ます。と大まかな流れがありますが、やはり補助金が出るとはいえ、補助金額の少ない市町村もあり充分でない場合もあります。

古い家で土台の腐朽も認められ、筋交いが足りず、壁も足りず、金物の緩いなどと悪条件が重なると補助金がいくらあっても費用はまかなえません。

また昭和56年以降の建物にはその補助金すら出ないのです。こうなると地震が心配な方は


「金は惜しいし、命も惜しい」というジレンマに陥ります。しかしやはり家族の命や資産の方が大事です。耐震改修はどんな形であれやった方がいいでしょう。


耐震改修はどの程度にするかの「見極め」が肝要


耐震改修で補助金が出る内容は評点1.0以上にする事でした。しかしこれを実行するには多額な費用がかかり、二の足を踏んでしまう方が多いのが現状のようです。やはり予算という壁は厚いようです。ですが耐震改修、補強はやらないよりやった方がいいに決まっています。


ですから予算内でわずかでいいから耐震改修を行なうのが一番良い方法なのです。比較的新しい家なら後日施工例を紹介しますが、当社がお勧めする「制振ダンパー」を付け加えるだけの方法もあります。新築なら「家ごとダンパー」です。

ここで制震という方法について少し申し上げます。
制振ダンパーのように制震工法は実際には「耐震という評点方法」では、加点が少なく評点はあまり上がりません。

「耐震」改修とは言えない工事かもしれませんが、実際問題として制震は地震の振れに、つまり地震力の吸収は大変効果のある工法なので、当社では評点を挙げる耐震工法とは違いますが、地震を制するという「制震」効果について提案させて頂いております。


話戻りまして、古い家の場合はまず土台や柱脚の部分の腐朽が懸念されます。まずここから是正するのが正しい道筋です。その上で引き抜きなら外付けのアンカーボルト、筋交いの補強など、壁のバランス及び補強と予算に応じて行なえば良いでしょう。


少しでも耐震改修をすれば決してマイナスになりません。これが重要なのです。予算に合わせた正しい方法です。

今回の東日本大震災で続く余震を我々は経験しました。地震は一回や二回ではありません。余震は1年以上続く事もあるのです。ですから比較的古い家をお持ちの方は、耐震改修をお勧めします。


リフォームするならついでに耐震改修せよ


リフォームするならついでに耐震改修をお勧めします。内装でクロスを張り替えるとします。そこで制振ダンパーを付けるのもよしですし、石膏ボード自体を耐力壁として使える内装建材に変えることも出来るのです。これなら費用はかなり軽減できます。ダンパーにするか、石膏ボードを変えるか、又は併用するかです。


外壁の張替えなども同様です。その時に躯体の状況を確認して、耐震改修を行なうのです。リフォームの内容によりせっかく内部の構造の状態を確認できる状態にあるのですから、このチャンスを逃さないで耐震改修するのがよろしいかと存じます。


最後に土台や柱、壁内の腐朽についてお伝えします。土台、柱脚の腐朽原因の多くは床下の湿気が多い!です。昔は今のような防湿コンクリートやべた基礎の発想はありませんでしたので地下から湿気が上がりやく、滞留しやすいです。


基礎には換気口がありますが、地下水位の高いところや換気口があっても換気が不十分なところは床下の土台がやられます。雨水が浸入するような基礎下などは最悪でしょう。原因がはっきりするならまず腐朽した箇所を直し、床下に湿気がたまらないよう対策するしか方法がないのです。


また今はお風呂はユニットバスが多いですが、古い家は現場造作で風呂を作っております。これはやはり土台や柱など腐りやすい要因となっています。


壁内の腐朽は結露が原因です。これを是正するにはかなり費用がかかります。方策として外壁に通気層がないなら外壁に通気層を設け、外壁を張り替える。内部の壁に気流が発生するような作りなら安易な断熱方法は取らない。有効な処置および断熱材の選択をしなければなりません。


またサッシまわりの防水を点検するなどします、と壁内結露は厄介な症状です。この外、屋根の状態を見なければなりません。屋根材でカラーベストなどの薄い窯業系の屋根材は傷みやすいです。


ルーフィングをきっちりやって雨水の浸入を阻んでも、熱でやられるのです。屋根は夏場90度以上になります。この熱劣化により屋根の下地、野地合板が劣化します。10年、15年は大丈夫でもそれ以上は厳しいでしょう。


よってここの腐朽、劣化に対して対策をしなければいずれ雨水の浸入を許す事になります。20年以上の建物でカラーベストの屋根をお持ちの家は一度点検することをお勧めします。


何故建物の腐朽について論及するかといいますと、1995年の神戸の震災では何と建物の圧死で6割以上の方が亡くなっているからなのです。何故圧死するのか?耐震住宅ではなかったからか?無論地震力に対してそれ以上の力が加われば倒壊するのが物理の法則ですから仕方がありませんが、大方は古い家の倒壊なのです。


しかも土台や柱、壁などの腐朽が進んでいる家に多いのです。ですから耐震改修でまず腐朽を是正しましょうと述べたのです。


これを読まれた方で自分の家はどうだろうか?親の家は大丈夫だろうかと思った方もいらっしゃると思います。


そういう方には床下の点検をお勧めします。業者に点検してもらうのではなく、ご自身で点検してみては如何でしょうか?私は最近サボっていますが、今の寒くない時期に2年に一度、床下を点検しております。昔の家は床下が特に狭く苦労しますが、平蜘蛛のように潜り床下の旅をします。


ベタ基礎ではないのでかなり汚れます。その場合はカインズホームで使い捨てでもいいような雨合羽を着用し、マスクをして、懐中電灯片手にひたすら平蜘蛛になりきり床下点検の旅をします。


点検項目は土台や柱脚の腐朽具合、その進行度合いです。また匂いも点検します。我が家は築20年以上ですが、まだ木の匂いがします。それとシロアリさんの点検です。


シロアリは束や基礎などに蟻道が出来ているかの点検です。ちなみにシロアリの蟻道は基礎下から土台までの立ち上がりまで進行するのに5年かかります。ですからシロアリ点検であれば3,4年に一度すればまず大丈夫です。但し基礎立ち上がりの内側に断熱をしている家はアッという間に蟻道ができるので注意が必要です。もっとも断熱材の内側に蟻道ができるので目視は不可能ですが・・・・この場合はともかく土台大引きに最大限の注意を払い確認するしかないでしょう。


それと当然ながら配管から水漏れがないかの点検です。これらは何も専門家でなくとも出来ます。その気になれば誰でも点検できる内容なのです。建物で恐いのは室内からでる水蒸気、外からくる雨水、そして水蒸気、床下からくる湿気です。


これら水蒸気、水は365日24時間日々迫ってきます。それでいて家の中は丁度良い湿度と温度を保ち、家が長年傷まないようにしないといけないのです。この相反する環境を長年維持する方法は現代の住宅では実現できます。リフォームでも限界はありますが可能です。


是非、お近くの工務店へご相談して下さい。


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2011年6月11日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:建築技術

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