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耐震改修・制震工事の施工例

耐震と制震は意味合いが違う

耐震(地震力に耐える)・制震(地震力を吸収する)、地震に対して家や資産、家族を守る、家を倒壊させないというアプローチは違いますが、目的は同じです。記述したとおりです。どちらが有利だとか、どちらが得かなどという話ではありません。建築技術が日々進歩し、地震に対しても日々研究、解析が進み、その対策方法も進化し続けます。

それで建物の基本は耐震です。これは間違いありません。そして制震工法は耐震性にプラスアルファとしてはじめて成り立つ工法なのです。今回取り付けしました制振ダンパーは揺れを軽減し、地震力を吸収します。ダンパーはオイルダンパーで建物1階の柱頭部分に取り付けいたします。本数は20本です。既存家屋でしたので室内から石膏ボードをはがし、制振ダンパーを取り付け、そして壁をもどおりに戻すだけの作業です。


早速施工写真から見ていきましょう。


       

  

まず玄関収納の上です。右の写真は設置後の写真ですが、設置前と当然ですが、ほぼ同じです。上部棚を取り外し、左の写真のように取り付けます。V金物があり、羽子板ボルトがありますね、この斜めに取り付けられた物体が制振ダンパーです。車のショックアブソーバーと同じ様なものです。建築ではダンパーとよく呼ばれていますが、原理はショックアブソーバーです。


取り付け方はこのダンパーを45度の角度で、専用のボルトをインパクトドライバで揉むだけである。いたって取り付け方は簡単である。特に新築の場合は今回の耐震改修(正確には耐震の評点は上がらない)と違い、躯体がむき出しの状態で取り付け作業は簡単でありますが、リフォームの場合は壁を一部取り外し、その後、復旧しないといけないので手間がかかります。


真ん中の写真は取り付けた内容の表示です。

 

      

上部はキッチンのレンジフードの上です。先ほどの玄関収納といい、キッチン上部と言い、随分面倒なところに付けているなあと思いの方がいらっしゃると思いますが、このオイルダンパーの計画は図面をもとにメーカーが取り付け箇所を指定してきます。

 

これはせっかく取り付ける制振装置の能力を十二分に発揮されるための計画なのですから取り付け不能以外の場所には多少面倒な場所でも付けねばなりません。このキッチンと玄関収納の桁は多少小さめなのですが、これはこの部分が下屋になっているからです。この下屋に付けることでも充分に制震工法の計画は立てられるのですから、複雑な形の家でも対応できます。

 

次ぎ行きましょう

 

     

 

これは階段部分です。

 

     

 

これは和室です。和室は真壁工法で他の壁より壁厚が薄くなっています。真壁工法とは構造躯体の柱がそのまま意匠的に化粧材として使う工法です。ですから必然と他の壁厚が狭くなるのです。左の写真を見て頂いて分かるように狭さを感じます。しかしこのオイルダンパーの会社、よく寸法の設定が出来ています。今主流の3寸5分の柱に真壁工法でも何とか納まるよう設計されているではありませんか。

 

右の写真はその後、壁の補修後の仕上がり写真です。

 

ん、ちょっと左の写真を良く見てください。一部ボルトの穴がボルトで止めておりませんね、両足の前後各1ヶ所ずつです。ご安心下さい、これは予備穴です。ボルトを止めるのに決められた本数があり、現場により止められない場合もあるのです。その時の為に少しずらして止められるように予備穴がダンパーに設定されているのです。

 

   

 

ユニットバスですね。ここは止めやすかったです。ところで当社ではダンパーを付ける際、当然のように柱頭金物の取り付け具合、断熱材の状態などその他壁内、天井裏の点検も行なっております。建物は新築してからボルトなど緩んでいることが多く、ボルトを締めなおす、ナットなどの締め忘れや取り付けの有無など手の届く範囲、目で視認できる範囲で整備を行ないます。

 


  

 


この2枚の写真はダンパー取り付け工事とは関係ありません。床下の点検写真です。サービスの一環としてお客様にお断りし行わせて頂きました。地区12年の家でしたが床下も綺麗でした。壁内も目立った傷みはなく、ほんの一部断熱材で黒い部分がありましたが、湿気はなく渇いており、嫌な匂いもなかったです。おそらく普段から雨水の浸入もないでしょう。健康な家の状態でした。建てられた業者さんもきちっとした施工をしております。


以上で施工例は終わります。最後にこの制振オイルダンパー20本の取り付け工事ですが費用はいくらでしょうか?新築工事と違い壁や住宅設備の取り外し、ダンパー設置、その後の復旧含めて税込み70万程度でした。お客様とその後お話させて頂きましたが、交通振動の揺れが軽減している感じがするとおっしゃっていました。地震は簡単に比較できませんが、交通振動は日々実感している感覚です。おそらくそれなりの効果が出ているのでしょう。安心しました。


地震が恐い、家を、家族を守りたいとお考えの皆様、特に東海地方にお住いの方は東海地震は起きた場合大きいと聞きます。是非、耐震のみならず、制震工法を取り入れるのを検討してみては如何でしょうか?耐震だけでは一部損壊した場合、多額の補修費用がかかります。それでいて、地震保険の費用が安いのです。


制震工法を取り入れれば、一部損壊が免れ、補修費用が安く済む可能性が高くなります。住宅ローンを抱えているのに更なる負担は経済的に計り知りません。是非、制震工法という地震対策をご記憶ください。

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2011年6月14日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:建築技術

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