イメージ画像

日本で中古住宅市場は活性化するか?

 

今年もあとわずか数日で2012年を迎える。今年は何と言っても東日本の大震災でしょう。この震災の影響は世界中が知ることになり、原発も廃炉に40年要するらしく、その間周辺地域に入る事も許されないでしょう。 日本海の深部の断層が次々に何百キロも崩壊し、瞬時にして海底が数十メートル隆起したのだから当然あれだけの津波が来ても不思議ではない。

 

なんとか次々に崩壊する断層が千葉県沖で止まり、北米プレートが乗っかる東日本で済みましたが、これがフィリピン海プレートとユーラシアプレートのぶつかる所まで断層が崩れると西日本沿岸全てが全滅する恐れがあったというのだから間一髪で止まってくれたと言わざるを得ない。

 

 

日本の経済もバブル崩壊からジリ貧状態が続き、止めの一発ともいえるリーマンショックで死に体同然、今では小学生でも知っているデフレスパイラルで景気のいい話はどこにも無い。これを何とかしようと立ち上がった民主党、そして民主党に期待した国民はこの2年で裏切られ、自民党にも民主党にも期待できず、日本の政治状態は暗礁に乗り上げた船のようだ。

 

年金崩壊危機、健康保険問題と様々な問題がこの国にはあり、2011年度の税収が41兆円で歳出が90兆円でしたかな。 毎年これに等しい状態が続いているのでついに国の借金が1000兆円超えてしまいました。あと数年すると破綻するかも知れない今の日本の状況です。

 

このような状態に政府民主党は消費税を10%に上げると言っています。2010年代半ばまでに、そして話は頓挫していると思いますが、震災前には世界と渡り合うために法人税引き下げをするという案もありましたね。今はどうなっているかは知りませんが、もはや打つ手なしの状態まで来ています。

 

この日本の現状を打破する為に、いよいよスーパースターの登場を待つしかなくなりましたが、乱世ではなく出来上がった社会ではそれも期待薄しですね。 日本社会は出る杭は特に打ちますから・・・ 型に嵌めるのが好きな民族からは出ないかもしれないな。

 

ところで日本では家を購入するには多くが新築を買っているのをご存知でしょうか? つまり中古住宅市場は小さく少ないという事です。 どれぐらいでしょうか? 2008年度で13.5%が中古住宅で残りは新築市場なのです。統計を見ると新築着工棟数とあるのでマンションを含めた数字です。マンションの中古を含む数字です。

 

これがアメリカだと中古住宅市場の割合は80.7%、イギリスは86.7%、フランスは65.2%です。他の先進諸国は知りませんが、概ねヨーロッパは同じような数字でしょう。あと北米のカナダもそうでしょう。 隣の韓国は知りませんが、地球環境、エコが叫ばれている時代にあって日本では異様に少ない数字です。

 

これは何故でしょうか? その一つに住宅の耐用年数によるでしょう。 先ほど挙げたアメリカの平均耐用年数は66.6年、イギリスは80.6年、ドイツやフランスも同じように60年から80年と聞いております。ところが日本の住宅の耐用年数は驚きの27.0年なのです。

 

50年かかって育てた木をほぼ半分の寿命で片付けれるのです、解体されて。

 

単純に耐用年数がヨーロッパ諸国の3分の1だとすると解体され処分しなければならない産業廃棄物は3倍になります。 私がこの業界に入って聞かされたのは「日本は住宅後進国だよ」だった。輸入住宅を仕事柄取り扱っていたのでこの事実を痛感したのを憶えています。今でこそ長期優良住宅の促進や性能表示制度により徐々に住宅の性能にも目を向ける方が多くなりましたが、どうしても市場原理、経済優先の原理原則に則り高性能住宅の普及は難しく、現実的には普及するには至っておりません。

 

つまり日本で中古住宅が普及しない点はここにあるのです。耐用年数が27年、30年しかない住宅に35年も住宅ローンが組めますかっていう事です。リフォームもしなければならず中古住宅市場は活発化しません。加えて昔の家より今の住宅のほうがどんどん性能が良くなっているのです。建築基準法も改正がどんどんされ良くなっています。

 

このような状況を鑑みますととてもじゃないけど中古には住めないでとなります。

 

しかし冒頭からつらつらと述べましたように日本はかつて無い程の借金大国となり、経済が一向に浮揚しません。中国やインド、ブラジルに代表される途上国の台頭があり、昔は日本は車を売ることが出来ましたが、中国やインドは今や立派に自国産のブランドを持つようになり、自動車販売に勢いがありません。

 

このような所得の上がる材料が少ない日本では無理な買物は致命傷を負う可能性が高くなります。でも家庭を持ち、子供が生まれると賃貸では狭いので家が欲しくなってきます。

 

そこであえて新築販売を中心にしている当社ではありますが、中古住宅を買うのをお勧めします。もちろん潤沢に資金がある人は注文住宅でもよろしいでしょうが、注文は無理、建売も厳しい、そして新築分譲マンションは嫌だという人は中古住宅しか選択肢はありませんので中古住宅を買う事をお勧めします。あとマンション中古でもいいという人はいいですね。

 

おいおい、今さっき耐用年数が27年しかないって言ったじゃないかとクレームが飛んで来そうな気がしますが、それでもあえてそういう方は中古住宅を選択するべきだと言っているのです。その理由ですが、耐用年数は確かにヨーロッパ諸国に劣りますが、この一つの理由はリフォーム工事の差でもあるのです。そうです、きっちりと的確にリフォームをすれば日本の家でも充分に長期の利用が可能なのです。

ここで先ほどの国別で家にリフォームで投資する割合を比較してみると日本が30.1%、イギリスが62.3%、フランスが52.3%、ドイツでは77.0%となっていて欧米諸国と比べると半分程度の水準である。 しかも表の細かい字を読むと日本の場合は住宅の投資の30%は純粋にリフォームだけとは違うらしい。つまり太陽光やエコキュートなどのあとで追加する項目って事かな。すると更にリフォームする割合は低くなると表には補記してあった。

また最近の若者の男性は車に興味が無く、女性にも興味が薄いらしくそういった男性を総称して草食男子と呼んでいるのみたいだが、これは住宅にも当てはまるのか最近の消費者へのアンケート結果では新築住宅にはこだわらないという人が増えているそうです。それでいて中古住宅への情報が少ないという意見が多くなっているみたいだ。

先ほど中古住宅を勧めた理由は欧米諸国はリフォームによって耐用年数を上げている事実があり、それが住宅を長生きさせる大きな要因になっています。逆に日本ではその土壌が無く、新築を買ってもメンテナンス一つしない人が多いくらいなのです。欧米では家は資産と考えます。日本は土地は資産だが、家は資産として認識していません。ここに違いがあるので耐用年数の違いが現れるのです。

 

さて、中古住宅を買って優先するリフォーム工事の内容を紹介しましょう。具体的にはやはり地震国であるので耐震改修工事です。これで耐震レベルを上げます。内容は金物を使ったり筋交いなどの補強をします。内側の壁には石膏ボードの変わりに耐力壁にもなる内壁材を使うのです。 また当社で紹介しているように耐震レベルが上がりませんが、制震には制震装置などを併用するのです。

 

また断熱改修には内壁と一緒に工事をするなら発泡系の断熱材を使い、サッシは内窓を併用します。屋根がコロニアルなどのスレートならお金のある時にでも増し張りすればいいでしょう。無論張替えでもいいです。地震が気になるならガルバリユムなどの金属にすればよろしいです。 この時、当初がスレートなら瓦は無理ですのでご注意下さい。お金をかけないと瓦は重いので無理です。

 

この二つをするだけで充分に家は快適に長期に過ごせます。ただリフォーム代と中古住宅購入費用、それと新築価格の天秤に掛けなければいけないのは容易に想像できますのでよくよく精査して下さい。一つ肝を述べればいくら新築でも建売住宅はそれなりの断熱仕様と耐震性、耐久性でありますので、中古をリフォームしたケースの性能などと比較はした方が良いでしょう。

 

気をつける中古住宅の購入項目にあと購入する際に建物に詳しい業者さんを選択すると良いでしょう。一般に不動産業で仲介を専門にやられる会社は建物の事について深く知りません。詳しいのは相場と取引に関する項目、住宅ローンと宅建に関係する法律関係です。建物の状況を把握するには建築屋さんしかいません。ここら辺りは踏まえて行動してください。

 

最後に政府が行なっている「既存住宅流通活性化事業」の案内を少ししたいと存じます。国土交通省の紹介文を紹介しますと

 

この度、平成22年度「既存住宅流通活性化等事業」について、下記のとおり募集を行うこととしましたのでお知らせします。 本事業は、住宅ストックの品質向上及び既存住宅の流通活性化を図るため、既存住宅の流通やリフォームに際して、住宅瑕疵担保責任保険法人による検査、履歴情報の登録又は蓄積、瑕疵保険への加入等を行う事業について、リフォーム工事費用等の一部を助成するものです。 応募の手続きや提出書類の詳細については、

平成22年度既存住宅流通活性化等事業のホームページに掲載します。

とあり、補助額として

4.補助額
[1] 既存住宅流通タイプ
イ リフォーム工事費用の1/3
(構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分の性能の維持・向上を図るための工事を含まない場合は1/4)
ロ 保険法人の販売する既存住宅売買瑕疵保険に加入するための費用のうち、現場検査手数料及び事務手数料
ハ 売主が個人の場合にあっては、住宅の検査及び保証を行う検査機関等に支払う検査料
(保険法人に支払う保険料相当額を除く。)
ニ 住宅履歴情報の登録又は蓄積に要する費用
[2] リフォーム工事タイプ
イ リフォーム工事費用の1/4
(構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分の性能の維持・向上を図るための工事を含まない場合は1/5)
ロ 保険法人の販売するリフォーム瑕疵保険に加入するための費用のうち、リフォーム工事に係る現場検査手数料及び事務手数料
ハ 構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分について、保険法人が行う検査に要する費用
ニ 住宅履歴情報の登録又は蓄積に要する費用
※1戸当たりの補助限度額は100万円とし、さらに、共同住宅等の場合には1棟当たりの補助限度額を2000万円とします。
また、1事業者当たりの補助限度額は5000万円とします。

となります。平成22年度から始まり23年度もありました。来年の24年度はまだ発表されていないかも知れませんが、このように政府は中古住宅の活性化を図るために新築同様の政策を打ち出しています。この条件に当てはまる人は利用するべきでしょう。もちろん予算があるので予算内の締め切りまでに間に合うよう計画しなければなりませんが、利用するべきものは大いに利用するべきです。

最後に題材として中古住宅市場は活性化するかですが、政府がしっかり中古住宅が活性化する政策を行い、それに伴い民間がその政策に価値を見出し、マスコミが正しく報道されればそれなりに活性化するでしょう。2年ぐらい前に日本の住宅のストックは今現時点で賃貸に住んでいる方が全員戸建やマンションを持てるぐらい余ってしまったのです。逆転しました。家は余っているのです。聞いた話では関東圏では栃木県の一部は3割程空き家があると聞きました。

平均で1割5分から2割、空き家が今の日本の住宅事情なのです。少子高齢化が進む日本では予測通りの結果でしょう。それでもパワービルダーの建売住宅はそれなりに売れているのです。もう一度日本の中古住宅市場は新築との割合で13.5%だと言う事を思い出し問題を提起したいと思います。

このエントリーを含むはてなブックマーク Buzzurlにブックマーク livedoorクリップ Yahoo!ブックマークに登録

タグ

2011年12月29日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:夢空館blog

トラックバック&コメント

この投稿のトラックバックURL:

コメントをどうぞ

このページの先頭へ