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過去記事2008/10/3 — 瑕疵担保責任履行法

ちょっと古い記事ですが家づくりに重要な保険の話です。

来年10月の新築引渡物件より特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する
法律が適用されます。特定住宅とは賃貸マンション、戸建、店舗併用住宅を含む
新築(1年未満)物件の事です。

新築引渡物件はその時に保険を適用させるのではなく、家は建築期間がありますし、
着工前に申し込みをしないといけないので来年明けから着工する物件は気をつけな
ければなりません。

分譲建売で時期を間違えれば販売できない事になり、新築期間の過ぎる1年を
経過した後、中古物件としてでないと販売できない事となるのです。

この法律の導入背景は姉歯・ヒューザーの事件が発端となります。
ヒューザー自身の瑕疵担保責任があっても倒産してしまえば消費者は
守られるはずがありません。これはメディアを通じて記憶に新しいですね。
それで倒産すれば単なるメーカー保証は意味がないものですから、という
事で出来た法律なのです。

そこでこの保険は被害を受けた消費者の保護が第一の目的とされていますが、
一つ意見をしたいと思います。

現在品確法などで10年保険は義務付けられていますが第3者機関による検査は
大体が2回です。配筋検査と躯体(金物)の検査です。当社はJIOを使っていますので
4回になっています。内容は基礎の配筋検査、躯体検査、外装下地の検査(防水検査)
完了検査です。 

この検査の実際は、例えば配筋検査に不備があり、それを是正しないと次の作業工程に
入れず、是正をせず工事を進めた物件は瑕疵担保責任の対象外になってしまうという
厳しい内容になっており、消費者は安心して任せる事が出来る内容のものなのです。

しかしJIOはこの10月より検査が2回になってしまうのです。なくなるのは外装下地検査
つまり防水検査、そして完了検査です。 今後一応オプションとして「外装下地検査の
把握」と「完了検査の把握」となるそうですが、これは前述のような厳しさはありません。
見るだけです。是正要求はしません。自由です。

JIOは常々欠陥住宅の8割から9割を占めるのが防水不備による原因だと指摘
してきています。よってJIOでは2つ多く検査項目を設けて消費者保護を謳って
来たのです。 ちなみに完了検査ではコーキングなどを診て防水検査をしています。

他の検査会社は2回で防水検査はしていないか、自主検査が多く消費者保護の
観点からみると姿勢が感じられません。その点JIOは評価できます。

がしかしJIOは事実上、この10月より防水検査をしなくなります。
他の住宅瑕疵担保責任保険法人も同じです。自主検査です。あるいはなしです。

理由は建築基準法に明確な防水基準がないが故なのです。

そして現実問題として世に様々な工法があり、この防水検査を徹底しますと
検査回数が多くなるだけで煩雑になり、結果的に保険費用が消費者に跳ね返ります。

防水の事故率からみますと保険で充分カバーできるという国土交通省の
現時点での見解もあります。

しかし実際の現場では
JIOが指摘する欠陥住宅(瑕疵)の原因のトップが防水の不備!!

それでは実際にこの法律が適用され雨漏りがあったとしましょう、そしてその原因が
防水工事の明確な不備だったしましょう。この場合、会社が存続していれば保険は適用
されない可能性があるのです。

保険適用されないケースになった場合は、防水不備の工事をし販売した会社が
保険適用を受けないで自費で修理・補修する事になるのです。

では、この会社が倒産していたらどうなるのか?

このケースは保険が適用されます。このための保険であり、一応は消費者保護に
なっています。

ですが釈然としません、私自身防水検査は当たり前でしたので非常に
違和感があるのです。 ちょっと神経質になりすぎでしょうか?
現場の人達の意見も聞きたいと思います。

それでJIOに色々話を聞いて当然のように疑問を聞きました。
「今後防水不備による瑕疵は増えると思うか?」ですが
JIO何名かに聞きましたが皆が皆「増えると予想しています」
との返答でした。

だったらやれよと、言いたいのですが、私の推測では、保険適用により消費者に
保険費用の実質負担が増えます。それで検査回数も多いと、どうしても同業の
保険法人との価格差がでて結局JIOは受注負けに繋がってしまいます。
他の保険法人は既に2回が原則だからです。
この不景気で利益も上がらない会社が多いのに建築会社が消費者の保険の
負担をしてくれるはずもなく、結局は諸費用としてお客様が負担する事になります。
あるいは坪単価に組み込まれているかですが、いずれにしろJIOは競争力
がなくなります。
それを恐れて右へならえの方針なのではないでしょうか?

当社では今後もJIOを使ってオプションになりますが
外装下地の検査、つまり防水検査をしていくつもりでいます。
理由はそれが建築をする側に生じる義務だからです。
人間いくら注意してもミスはします。

現場の職人さんが見て、現場監督が確認をしても不備が
生じる可能性があります。そこに第3者の目が検査をして
不備の指摘をしてくれるだけで大きく事故は防げると確信しています。
よくある社内自主検査のみでの「なあなあ」は怖いです。

以上が過去の記事でしたが、当時を思い出すのはやはり防水検査をしないの
一点に付きます。 決まった事は仕方がないですが、防水工事の徹底をして
事故を未然に防ぐ事が最前の防御ですね。

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2011年2月4日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:夢空館blog

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