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外断熱か内断熱か — 高気密・高断熱住宅について

皆さん、タイトルにあるように木造戸建住宅における断熱工法
では建物の躯体内、あるいは内側に断熱材を入れる場合、
充填断熱と呼びます。

躯体の外側に断熱材を貼る場合外張り断熱といいます。
これらを併用する事を付加断熱といいます。カナダの
基準でR2000住宅がこの方法を取っていました。

R2000住宅はカナダの寒い地域から生まれた基準ですが
日本はそれに見習い高気密・高断熱住宅を真似しました。

話し戻って鉄筋コンクリートの建物では内断熱・外断熱
と言葉を使い分けています。ここでは木造・鉄骨・鉄筋コンクリート
を問わず、内断熱・外断熱と呼ぶ事にしましょう。
木造においては正確な表現ではありませんがイメージ的に
分りやすいのでこう呼ぶ事にします。

それで内断熱と外断熱、一体どちらが良いんだとたくさんの方から
質問をされます。外断熱メーカーは外断熱が一番と言いますし
内断熱のメーカーは木自体が熱伝導率が低く、外断熱にする意味が
ないと言ったりします。

日本ではまだ常識ではありませんがマンションなどの鉄筋コンクリート
と建てる場合、海外では外断熱が当たり前で、木造では内断熱が
当たり前になっています。

理由はコンクリートの熱伝導率が高く、外気にさらされると著しく
熱の影響を受け結局内断熱工法だと壁体内で結露するからです。
木は熱伝導率が低いので内断熱で結露しないからだという事らしいです。

ところが日本のマンションは鉄筋コンクリートでも内断熱です。
皆様はマンションで壁内結露を見たことがありませんか?
私は若い頃壁紙職人でしたのでたくさんマンションの結露を
見てきました。ですから日本の常識は海外では非常識となっているのです。

断熱と結露の仕組みを理解すればコンクリートには外断熱が理想
と気付くはずなのですが現実はほとんどが内断熱マンションです。
最近は外断熱が増えてきたらしいのですが、まだまだです。
スケルトンインフィルもそうですね。まだまです。

コンクリートは熱をたくさん通しますが利点もあります。
それは蓄熱する容量が大きい事です。木造とは比べものになりません。
熱量を保持するのは質量と関係してきますから当然なのですが
マンションそのものを外側から断熱材で覆う。これは熱を外に
逃がしませんからいいですね。

これが逆に内断熱だと外気にさらされたコンクリートはどんどん
熱を外へ逃がし結局高断熱になりにくいマンションになってくるのです。

木造でも外断熱・内断熱論争がありますが、私自身正しく施工すれば
どの方法をとっても良い結果がでると思っています。ある一定の基準までは・・・
しかし外断熱外断熱だけだと高断熱住宅にしづらい面があります。
外壁の重さをどうやって長期間維持するのかも問題です。

内断熱では特に繊維系断熱材の場合、施工レベルにより結果が大きく
違う場合もあります。大まかな点を上げてみましたが当社では内断熱を
採用しています。

付加断熱は通気や結露、付加断熱部分の蒸れなどの問題を解決
していないので採用しておりません。外断熱はコストの問題もありますが
デメリットの指摘が拭い去れず採用できません。

次に高気密・高断熱の住宅がどこの地域にも当てはまる家なのかの
検討をしましょう。R2000住宅基準はおそらくですが九州などでは
逆に大きなクレームになる可能性があります。

なぜなら北海道基準の高気密高断熱住宅を九州で販売した会社が大クレームに
なったと知人から聞いた事があるからです。理由は高断熱しすぎで夏場、
エアコンが効かず電気代がバカ高くなるという報告があったからです。
1棟、2棟の話ではありません。この現象は夜間の放熱が原因しているのです。

関東や関西ぐらいなら夜間は昼間に蓄えた熱を放熱するので夏場の
断熱も期待でき、エアコンは効くのですが、鹿児島とかになると夜間でも
熱帯夜続きで放熱をせず、昼間も夜間もエアコンの冷気を躯体が吸収
し続けるらしいのです。

これが原因で大クレームに発展したと聞いております。元々高断熱はヨーロッパや
北海道の寒い地域で発達した考え方なので暑い地方に当てはまると考える
のは早計なのかもしれません。つまり高気密・高断熱住宅は全ての地域に
有効ではないという事です。
巷間ハウスメーカーも含め金科玉条の如く、高気密・高断熱住宅は
最高の形と喧伝していますが、熱帯や亜熱帯には逆効果という事実があるのも
建築関係者は知っておくべきことだとおもいます。

また一年中室温が平坦な環境は人間の自律神経だったかな、影響を与え
寒暖の差がある家の子供より勉学が励まない、あるいは集中力が落ちるなど
の報告も読んだ事があります。

健康という観点からはどうでしょう。養生訓と言うのは知っていますか。
江戸時代の貝原益軒が健康な生活の仕方を解説した本なのですが
これについて、四季を感じるほうが健康を保てるという内容があります。

また人間の感覚について話しますと暑さ寒さについて楽に楽に生活すると
ちょっとした外部の変化に簡単に苦を感じてしまうようになることです。
例えるとお風呂です。40度42度と快適な温度以外はすぐに暑さ冷たさを
訴えちょっとした温度差が許せなくなる感覚が出来上がるようになります。

ところが劣悪な環境で育った人間はちょっとぐらいの環境の変化は全く
苦ではなくなり、なんとも思わない強い感覚を保持しています。
味覚にも言える事です。いいものばっかり食っていますとちょっとまずい
ものは口に入れる事は出来ません。

しかし粗食やまずいもの、ちょっとぐらい腐りかけたものを食べれる人は
たとえ酸っぱくなったおかずでも平気で食べます。これは私の経験からでも
間違いはないです。人は楽に楽に生きると感覚のスパンが小さくなるのです。

何か高気密高断熱住宅は良くない家なのかという風に書いていますが
決してそうではありません。当社はそれを勧めています。エコでもあり
現代人は昔の人みたいに我慢強くありません。また昔の人は環境に固定され
強制的に我慢を強いられているだけなのです。きっと現代みたいに
環境であれば同じような感覚器官になっているでしょう。

ここで言いたいのは高気密・高断熱は温帯から寒い地方には有効ではあるが
暑い地方には不適切な住宅だという認識を持つ事と高気密高断熱住宅も
どの程度にするか等を検討する事が肝要だということです。

では、また。

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2011年2月7日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:夢空館blog

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